最悪の状況から一縷の望みを掴み取る
弊社は、1975年創業の老舗企業です。創業者である私の父は、酒屋、八百屋、魚屋など町の商店の皆さんに冷凍機を販売する商売を行っていました。しかし、1980年代の後半になると町の商店に活気がなくなり、廃業に追い込まれる店が増えていきました。さらに、後継者のいるお店は次々とコンビニエンスストアに鞍替えして、弊社のお客様がいなくなる状況に追い込まれていきます。父の病気を機に、私が田崎設備に入社した頃は最悪の頃。私は父に黙って就職活動をやっていたほど、会社の未来を絶望視していました。そんな折、食品工場の方から空調に関する相談をいただくようになります。食品工場の空調は、食品の品質低下を防ぐために温度を一定にするだけでなく湿度も管理しなければなりません。非常にデリケートで最初は思うようにいかず失敗も重ねたのですが、お客様がつき合ってくれたのです。一緒に最適な空調管理を模索しながら勉強させていただき、温度管理・湿度管理のノウハウを身に付けていきます。すると、お客様に次のお客様をご紹介いただくようになり、そこに大きな潜在需要があることに気づいたのです。
ニッチな需要を見つけブルーオーシャンを独走
潜在需要を模索しながらお客様のご要望にお応えする日々。そんな中、大きなブルーオーシャンに辿り着きます。それが、局所排気装置です。これは有害な化学物質(有機溶剤)や粉塵など健康を害する物質を局所排気フードから吸い込み、ダクトによって搬送し、専用の送風機により外部に排気する換気装置のこと。私たちは、お客様のきめ細かなご要望にお応えしながら局所排気装置のカギとなる排気フードの設計に磨きをかけていきました。そして、そのノウハウをホームページで公開したところ、全国から引き合いが殺到。局所排気装置は化学物質を取り扱う多種多様な業種で求められている換気装置だったのです。さらに、可燃性のガスや液体など危険物を取り扱う企業にとって深刻な課題となっている「防爆」という需要を見つけます。危険物を製造もしくは貯蔵保管する場所は、消防法によって厳しい規定と安全性を確保する構造が求められています。つまり、通常の空調機は設置できないと法律で決まっているのです。しかし、働く人の体調管理や貯蔵品の管理のために空調したいという需要は多大です。そこで、弊社はこれまでのノウハウを結集して消防法をクリアする特殊な防爆エアコンに対応。防爆の空調に対応できるほぼ唯一の企業として、多くの耳目を集めるまでになりました。
会社の数字を全社員に公開やる気を喚起する仕組み
こうして振り返ってみると、お客様のお困りごとが事業のヒントになったと実感しています。そして、現場は気づきの宝庫です。お客様がまだ気づいていない課題や解決のヒントが現場にはある。お客様の課題に真摯に耳を傾け、現場をつぶさに観察してきたことで、競合の少ないブルーオーシャンを見つけることができました。当然、社員にも現場の大切さを言い続けてきました。現在では、私がいなくてもそれぞれが社用車で各地の現場に赴き活躍してくれています。もう一つ、社員に対して大切にしていることは情報共有です。弊社では、売上進捗表や人事評価、会社の目標などの数値を全社員に公開しています。さらに、一つの案件で誰がどのように貢献したかをきめ細かく数値化。営業や設計などの具体的な業務だけでなく、話し合いに参加してアイデアを出したというような付加価値も数値化するので能動的に関われば数字が上がる仕組みを構築しています。誰もが平等に、チャレンジしながら変化を楽しむ。「風を読み、みちをつくる」ベンチャー企業で、あなたの可能性を花開かせてください。