みんなのがんばりで掴んだ10年連続全国No.1の称号
当社はSUBARU車の販売特約店として1958(昭和33)年に創業。現在は奈良に5店舗を展開しているほか、グループ会社としてボルボ車の取り扱いやドコモショップの運営も行っています。当社の強みは、若手・ベテランが一丸となって目の前の課題やミッションに取り組む「全員経営」を敷いている点にあります。社員の意識の変化や時代の要請があったのだと思います。1つのきっかけとなったのは、ある店舗独自の取り組みでした。ディーラー業に関わらず、どの業界でも店長や役職者がさまざまな業務を抱え込み、オーバーフローしてしまうのはよくあることです。しかし、その店舗の店長は「自分一人で業務をすべてこなせるわけがない。担当者を置いて彼らを信頼して任せた方が、はるかに効率がいい」と若手スタッフに業務の多くを信任したのです。まさに「全員経営」でした。社歴や年齢を超えたところで、それぞれがそれぞれの役割を全うしてくれました。その結果、業務効率が格段によくなったのはもちろん、新人メカニックがベテラン社員にお願いや意見をするなど、社歴や年齢などあまり遠慮することなく、みんなが気兼ねなく意見を言い合える環境が醸成されました。さらに社員一人ひとりが当事者意識を持って仕事に取り組めるようになり、サービスの質が向上した時期だと思います。こうした業務改革のかいもあり、メーカーが主催する優秀特約店表彰(ディーラーオブザイヤー)を、2011(平成23)年から10年連続全国No.1を達成することができたのです。
ピンチをチャンスと捉え社内体制づくりに注力
こうしてお客さまだけでなくメーカーからも高い評価をいただいている当社ですが、私はというと、年を追うごとに経営することの難しさを感じています。近年は若者の車離れにネットの普及に伴う実店舗の来客数の低下と、この業界を取り巻く状況は年々厳しくなっています。それに加えて、私が社長に就任して間もないタイミングで訪れたコロナ禍。当時は危機感でいっぱいでしたが、それと同時にこの機会をチャンスと捉え、先代である父親が築いた伝統や社内風土は大切にしつつも、私をトップとする新たな社内体制づくりに注力することにしました。まず手がけたのは、当社の経営理念をよりわかりやすい形に言語化した「行動指針」の策定。全社員が意見を出し合い約1年かけて作り上げた行動指針で、今一度当社の掲げる想いや理念の共有・浸透を図りました。また、商談力向上チーム・ショールームアテンダントチーム、モータスポーツ派遣メカニック育成チームなど、人材育成を目的としたプロジェクトチームや各種勉強会の開催、セールス・メカニックそれぞれの認定資格制度を設けるなど、スキルアップのための環境づくりにも力を入れて きました。また働き方改革の目玉としては、「GW」「夏季休暇」「年末年始休暇」という一般的な長期休みとは別に、社員が希望すれば取得できる「7連休」(定休日が2連休ですので、それと5連休を加えての7連休)の取得率は2022年度は84%を超えました。
来年は勝負の一年!社員を信じ共に前進
私が社長に就任してもうすぐ5年になりますが、ようやくこれまでの社内体制づくりが整ってきたこともあり、来年は勝負の一年と位置づけています。その足掛かりとして、2020(令和2)年の受賞を最後に、年度目標とはしていなかったディーラーオブザヤー獲得に、再び挑戦したいと思います。コロナ禍もようやく落ち着き、社会全体が再び歩み出そうとする機運に満ちている中で、みんなが同じ目標に向かって再び前進することは、会社のさらなる成長につながるものと期待しています。先代社長に比べ経営者としてはまだまだ未熟な私ですが、だからこそ社員みんなと協力し、チームの力で会社をより発展させていきたいと思います。