スタートはエビデンスに
基づく児童発達支援
私が福祉関係に携わりたいと思ったきっかけは「障がい者の賃金の安さ」を目の当たりにしたからです。環境コンサルタントをしていた時期に「納期」という課題を見つけました。経済は動脈産業と静脈産業で構成されています。いわゆる動脈産業には、出荷という納期があります。このフェーズで障がい者が就労するというのは難しいこと。支援員も逼迫するでしょう。一方、廃棄処理などに見られる静脈産業は納期に追われることがありません。環境にも優しいビジネス。SDGsが台頭する以前からこの仕組みに気づき、障がい者における賃金の安さという社会課題を解決したいと思いました。会社を設立してまず始めたのが、児童発達支援と放課後等デイサービス事業。2歳から18歳の発達を支援する認可施設の運営です。とくに、弊社は「運動プログラム」に注視しているのが特徴と言えるでしょう。例えば、跳び箱、逆上がり、大縄は小学校体育の3大鬼門と呼ばれているもの。これらができるようになるために、支持力や跳躍力、懸垂力を身に付けていくプログラムです。人間の構造や筋力と言ったエビデンスに基づいて、楽しみながらできるようになるまで補助していきます。当然、怪我などのリスクもありますが、弊社では全員が運動療育支援員の資格を保持しています。
障がい者賃金向上の
仕組みづくり
2016年から始まった児童発達支援事業は徐々に拠点が増え、2021年には7教室に拡大しました。同年、満を持してスタートさせたのが就労継続支援B型事業です。一事業所目として千葉県野田市に「Olinace野田」を開所。本来であれば、弊社のような中小規模の会社に大手企業から依頼を受けるのはハードルがあります。しかし、就労ネットワークを構築して、点と点を線で結び面とすることで大きな集合体として提案すれば、大型案件も引き受けることができます。私自身も営業に出向きます。企業から感謝されるだけでなく、利用者の笑顔を見ることができるというのは何よりのやりがいです。弊社が目標に掲げているのは「すべての人の職業選択の自由」です。障がい者が自由に職業を選ぶことができ、適切な賃金を得られる社会。それを実現させるための「就労コーディネート」が私たちのビジネスです。最終的なゴールは、就労のテーマパークを創設すること。弊社の施設で育った子どもたち、障がいを理由に職で困っている大人。そんな人たちが自由に働ける環境を提供したいと考えています。
発達障がいの社長が
描くワクワクする会社
福祉サービスを提供する弊社は「人は宝」という言葉を大切にしています。利用者はもちろん、職員も幸せにする会社を目指しています。とくに福利厚生は充実。「誕生日手当」、「禁煙手当」、「面談制度」、「資格取得制度」、「研修制度」など多彩な福利厚生を設けています。整った職場環境を提供した上で「ワクワクする会社」としてこれからも活動していきたい。職員からもよく言われるのですが、私自身も発達障がいの傾向にあります。人の顔と名前が覚えられず、気が付かない内に話が脱線してしまいます。思い立ったら我慢ができずに直ぐに行動してしまう多動症です。それでも自分の想いを常に言葉として発し、行動することで社長になることができました。これはとてもワクワクすることではないでしょうか。弊社でスキルや経験を身に付け、起業するのも大歓迎。もちろん、福祉以外のビジネスにチャレンジするのも良いでしょう。職員みんなの力もあり弊社も9期目に入りましたが既に次の世代へバトンタッチするステージに差し掛かっています。5年後10年後の社長候補はいつでも募集していますよ。