保冷剤・蓄冷剤分野で業界トップシェア
食品の輸送、医療分野などで利用される保冷剤・蓄冷剤の開発・製造を行い、業界トップクラスのシェアを誇っています。独自の技術開発で世のため、人のためになる製品を生み出してきました。中でも、近年開発し医療機器認定を受けた「愛帽」は、大変好評をいただいています。これは頭皮を一定の温度に冷やすことで、抗がん剤の副作用である脱毛を抑える製品です。以前から、毛細血管を収縮させることで脱毛を抑制できることは分かっていましたが、頭皮を均等に長時間冷やし続けることの難しさが課題でした。「愛帽」は、1℃単位での温度設定と、設定温度の長時間保持が可能。さらに、当社が開発した、低温でも柔軟に形を変えられる保冷剤「ホワイトジェル」の採用によって、頭皮に保冷剤を密着させて冷やし続けることを実現しました。
低温で脱毛を抑える製品が多くのがん患者を救う
開発のきっかけは、がん患者から1通のメールを受け取ったことでした。「保冷剤や蓄冷剤を開発する当社なら、頭皮を冷やして脱毛を抑える製品を作れるのでは」という思いを受け取り、開発に着手。試作品での臨床試験では、驚くほどの効果を得ることができました。医療従事者からの口コミのほか、マスコミ等で紹介されたこともあり、現在は月15〜20件ほどの問い合わせを受けて製品を送っています。特に乳がんを患った若い女性の方から、「ほとんど髪の毛が抜けなかった、ありがとうございます」と感謝の手紙を多くいただいています。眉毛にも同様の効果が得られたという報告を受けており、多くの患者さんから、自分の写真を提供するから広めてほしいと切望されています。最新モデルには、ゴルフシューズにも使われるダイヤルを採用し、より頭皮にフィットさせる機能を付けました。2024年4月には仙台工場に新しい機械を導入し、量産体制が整いました。医療現場で普及させるためには、確固たるエビデンスが必要です。そこで、東京の医療機関からの申し出を受け、臨床委員会を結成。データを集め、海外の学会で発表していただくことになりました。学会で効果が証明されれば、ますますの普及が期待できます。
革新的な技術を用いて人々の課題解決を
当社が理想としている姿は、「革新的な技術力で、世にないモノをつくること」です。「冷やす」と「温める」で人々や社会の課題解決に貢献するため、山梨県にある研究機関と連携して技術開発に取り組み、斬新かつ利便性の高い製品づくりを進めてきました。一例として、国際宇宙ステーション「きぼう」では、試薬の保温カプセルに当社製品が使用されているほか、IPS細胞を研究する全国の大学からも引き合いをいただいています。医療機器開発の事業においても、愛帽に続き、抗がん剤の副作用である爪の変色を防ぐための手袋や靴下の開発を進めています。近年はカーボンニュートラルの観点からドライアイスの使用を抑える企業が増えており、冷凍品を扱う運送業者では、代替として当社の超低温タイプの保冷剤に切り替える動きも出てきています。今後は、当社にしかできない高付加価値製品を量産できるよう体制を整えていきます。そのために欠かせないのが、製造や営業、管理業務をしてくれる社員です。社員には常に感謝し、安全で働きやすい環境づくりに努めています。賞与は年3回で、2023年度は物価上昇手当も支給しました。社員と共に社会に求められる製品を作り続け、世の中に貢献できる経営を続けていきます。