地域社会に貢献するため守り抜いた先代の教え
当社は建築物の空調設備・衛生設備工事を専門とする、地域に根差した会社です。札幌コンサートホールKitaraやちえりあ、札幌市動物愛護管理センター「あいまるさっぽろ」などの公共施設から民間施設、小中高等学校まで、手がけてきた設備工事は多岐にわたります。1973年に札幌市東区に創業し、今年で50周年を迎えました。私は1985年から日立製作所で半導体製造技術を学び、1990年に当社に営業職として入社。専務取締役を経て現在に至ります。この30数年間を振り返ると、厳しい自由競争の時代を「よく生き抜いた」という思いです。それも、先代の教え「現場第一で良い仕事をする」ことを貫いてきたためだと考えています。誰も知らないからいいだろう、と横着することは絶対にしない。現場の社員たちがそれを忠実に守り、実績を残してきたからこそ、安定した経営基盤を確立できたのです。創業者の内藤孝は、長年磨き上げた設備技術で地域社会に貢献することも志していました。そのため工事の誠実な遂行はもちろんのこと、地域のボランティア活動にも力を入れています。たとえば当社は2006年、道内企業でもいち早く北海道環境マネジメントシステムスタンダード(HES)の認証を受けました。HESの環境活動の一環として、コロナ前には年に3回ほど豊平川の河川敷や会社周辺のごみ拾いを実施してきました。この仕事の魅力のひとつは、一人前になれば一生食べていける技術力やスキルが身につくことです。というのも、施工管理者として現場を取りまとめるのも我々の役目。図面どおりに建物が完成するようさまざまな職人と意思疎通を図る必要があります。技術力に加え、豊富な知識と経験、コミュニケーションスキルが求められるからこそ、現場でリーダーシップを取れるようになれば、万が一会社を辞め一からスタートすることになったとしても、新たなチャンスを掴み取ることができるでしょう。一方、この仕事でより重要だと考えるのは「人間力」です。冷暖房設備を取り付けるということは、その場所を利用する人がいるということ。想像力や思いやりがある人は、指示された場所にただ設置するのではなく、利用者の身になって工夫することができます。するとお客さまに感謝され、次の仕事へと繋がっていくのです。
社員一人ひとりが自ら考え実行できる環境づくりを
社員のワークライフバランスを実現するため「休めるときは休み、楽しく遊ぼう」をモットーにしています。一昔前までこの業界には、休みたくても休めない風潮がありました。当社では“終業時間を見据えた現場進行”を徹底するよう伝えてきた結果、社員一人ひとりに工程管理スキルが身についたと感じています。年に数回開催している新年度会議や忘年会、納涼ビール会といった社内行事も、予定時刻より遅れてスタートしたことはほぼありません。中小企業で働く魅力は、社員が一丸となって目標を達成していけば、その結果が給与に反映されやすいこと。とくに当社の場合は10年、20年という長期スパンでの雇用を見込んでいるため、約2割の女性も含めて全員が正社員。転勤もないため、将来設計を描きやすいのではないでしょうか。また共働きが主流の現代、女性も裁量を持って長く働ける環境づくりを意識しています。社員の中には、産休・育休を経て長く勤めてくれている子育て中の女性もいます。おかげさまで当社は着実に黒字を保っており、来年度には社屋の建て替えと移転を予定しています。社員を大切にし、彼らが主体的に考え実行できる会社を目指し、これからも鋭意努力してまいります。