「人生をともに
するホテル」を運営
日本三古湯のひとつとして知られる有馬温泉で、「有馬グランドホテル」と「中の坊瑞苑」の2つの宿泊施設、また大阪・曽根崎新地で料亭「北瑞苑」を運営しています。有馬温泉で最大の客室数を誇る「有馬グランドホテル」は、有馬三山に囲まれた高台に位置し、最上階にある展望浴場からは眼下に風情あふれる有馬温泉街、遠方に緑豊かな丹波の山々を望む絶景が楽しめます。一方の「中の坊瑞苑」は、鎌倉時代の僧侶・仁西上人が有馬に建てた十二の宿坊のひとつ「中の坊」の伝統を継ぐ宿。和の安らぎと粋を尽くし、日本ならではのおもてなしの真髄を体現する、一期一会のひとときを提供しています。どちらの宿も、お客さまのかけがえのない1日に寄り添い、心に残る「人生をともにするホテル」となることを目指しています。温泉旅館は、都会の喧騒から離れ、ゆったりと流れる時間の中で心身を癒していただくための場所です。同時に、和室や着物、和食など、日本の美意識に触れていただくための場所でもあります。当館のお客さまの多くは国内からで、その半数以上がリピーターです。「また来たい」と思っていただける日本流のおもてなしは、欧米やアジアからお越しくださるお客さまにも大変好評をいただいています。海外のお客さまに向けて「特別な演出を用意する」のではなく、「日本流のおもてなしの真髄を磨くこと」こそが、世代や国を問わず、すべてのお客さまの満足につながると私たちは考えています。
創業者の精神を受け継ぎ
時代のニーズを捉える
当社の歴史は今から約150年前、1868(明治元)年に始まります。創業者である梶木源治郎は、当時は「毒水」と恐れられていた湧き水の正体を調査し、飲料可能な炭酸泉であることを突き止めました。この発見が日本初とされるサイダーや炭酸せんべいなど、有馬名物誕生のきっかけとなったのです。私財を投じて調査に乗り出し、道路改修などでも地域の発展に尽力した源治郎は、現在の有馬温泉の隆盛を導いた先駆者で、「世のためになれ」という利他の精神と、新たな挑戦を恐れない「進取の気風」を遺しました。6代目として経営を担う私も、創業者の志と伝統を大切に守りながら、時代の風を捉えた新たな挑戦に取り組んでいます。その一つが、2027(令和9)年初に開業予定の“愛犬と泊まれるドッグホテル”。家族の一員である愛犬と一緒に過ごせるホテルを望む声は、年々高まりつつありますが、有馬にはこうした宿泊施設がほとんどありません。お客さまのニーズに応え、地域の発展にも貢献できるこの事業にも、創業者の精神が脈々と息づいています。
小さな気づきの積み重ねで
「最幸のおもてなし」を
おもてなしは、マニュアルではなく「お客さまに喜んでもらいたい」という心から生まれるもの。お客さまのふとした表情や言葉の端々の“行間を読み取る”ことが接客業では欠かせません。例えば、夕食時に左利きのお客さまに気づいたら翌朝は箸の向きをさりげなく変える、記念日のデザートに手描きのメッセージを添える、ちょっとした積み重ねを大切にしています。そうした小さな気づきと積み重ねがお客さまに満足していただく「最幸のおもてなし」につながっていくと考えています。また、社員の意欲を高める取り組みとして「11スター制度」を導入しています。これは業績への貢献や資格取得など、11の評価項目に基づき、月ごとに活躍した社員を選出し、表彰するものです。最近では、ラウンジ限定の提供だった「金泉塩チョコレート」の売店販売を、入社3年目の同期社員2人が協力して成功させました。社員の前向きな姿勢や成長を間近に感じ、経営者として深い感動を覚えました。デジタル化が進む時代だからこそ、血の通ったサービスを大切にしたいーーお客さまの背景に思いを巡らせ、行間を読む力を育てながら、これからの旅館文化をともに築いていきたいと願っています。