適応力や対応力が問われる時代を生き抜く
よく「今後の目標はなんですか」と聞かれることがあるのですが、私はあえて目標は立てないようにしています。目まぐるしく変わる世界情勢の中、もはや10年先を見通すことは非常に難しいことです。長期計画やビジョンを立てたところでその通りに行くことはまずあり得ません。AIの台頭、急激な物価高騰をはじめ瞬時にこれまでの常識が変わる今だからこそ、未来の目標よりも目の前にあることにベストを尽くすことが大事なのではと私は考えています。ビジネスは一期一会。適応力や対応力が問われている時代と言えるのではないでしょうか。
新たな分野への挑戦「ことほぎ温泉」ブランドを世界へ
1971(昭和46)年に父が始めた運送業からスタートした当社は、その後、日々目まぐるしく変化を遂げる時代のニーズに対応すべく、建設・砕石・リサイクル・新エネルギー・電力事業と次々に事業を拡大し続けてきました。そして、一昨年当社の新たな転換点の一つになり得る事業のコスメティック事業に参入しました。きっかけは、橿原市にある弊社敷地内から温泉が湧出したことでした。橿原神宮に「ことほぎ温泉」と命名されたこの温泉水は、湧出量こそ少ないものの、水道水に比べ粒子が細かく、炭酸水素イオンやメタケイ酸、シリカなどのミネラル成分を多く含んでいることがわかりました。このものすごいポテンシャルを秘めた「ことほぎ温泉」をどうにか活用できないかと思い、行き着いた答えが化粧品であり、飲料水でした。そうして完成したのが高級基礎化粧品「エクリードプレミアムシリーズ」と、飲む美容温泉水「EMINERS(エミネラス)」です。どちらも発売以来ご好評いただいております。特にEMINERSはアクアソムリエが水を審査する「JAPAN AQUA AWARDS」の2022、2023と2年連続で金賞を受賞。またミシュランガイドやゴ・エ・ミヨなどで認められた世界トップクラスのシェフやソムリエが味覚を審査する「2023 International Taste Institute」でも国内の温泉水として史上初の最高賞を受賞するなど、名実ともに「ことほぎ温泉」の有用性が証明でき、現在は各国から多数の商談を受けています。今後は海外をメインとした展開を計画。その足掛かりとして昨年タイに現地法人も設立しました。奈良から世界へ「ことほぎ温泉」を世界に轟くブランドとして育てていく方針です。変わる時代の中、人が求める健康や予防、美容など、これは変わらない価値を追求する挑戦と言えます。
都市鉱山の開拓に着手
当社の主力事業のリサイクル分野でも、今後新たに金や銀、プラチナをはじめとした「レアメタル」の貴金属リサイクル事業の展開を計画しています。日本は世界でも有数の"都市鉱山"と言われており、貴金属リサイクルの分野は注目を集めているものの、膨大な設備投資や回収技術などがネックで思うように進んでいないのが実情でした。当社は、低コストかつ、あらゆるレアメタルの効率的な抽出と精錬が可能な、日本最大級のレアメタルリサイクルプラントを独自設計。これを建設し、今年中の稼働を計画しております。都市鉱山の開拓を当社のリサイクルノウハウをフル活用し、リードしていきたい思いです。当社は創業以来「総合技術で新時代を創る」を合言葉に進化を続けてきました。これからもその理念を大切にしつつ、よりスピーディー・より大胆に新たな道を切り拓いてまいります。