重大インフラを支える技術力に定評
弊社は特殊電源や大型トランス、一般産業システム、社会インフラ公共システムなどの電気機器に関わる装置の開発と製造を事業としています。中でも鉄道関連の機器は売上の多くを占める事業。電車の車両下部にある黒いボックスには空調の制御や電源装置が搭載されていますが、大手電機メーカからの委託により、その内部に収める電源や制御部、トランス等の設計、開発、製造、メンテナンスまでワンストップで対応しています。鉄道車両というのは30年以上利用されるのが当たり前。客先が弊社に求められるのは「壊れない」、「不適合を出さない」ということです。例えば、窓が開かない車両もあります。空調や照明がストップしてしまえば、大きな問題になるでしょう。委託により製作した電源装置は高品質でなければなりません。長らく重大な交通インフラを陰で支えてきた技術力こそ、弊社の強みです。電車を見るたびに「自分たちが関わっている」と実感できることが、仕事のやりがいになると思います。
鉄道車両以外の業界に参入も見込む
昨今では鉄道業界も環境への配慮や装置の小型化も求められています。弊社では液剤の廃棄や使う材料の削減に取り組んでおり、それでいて30年以上安定して稼働できるかなどの検証を重ねています。装置の小型化に関しては大学とコラボレーションした研究開発を実施中。トランスを高周波化させて製品自体を小型化させるプロジェクトで、2023年度には試作機完成を見込んでいます。また、鉄道車両という業界以外にも目を向けなければなりません。これまで弊社が携わったトランスは鉄道車両専用でしたが、これを一般各社に展開していくビジョンがあります。防水、防塵に優れた弊社の制御装置は、例えばデータセンターや医療機関などにマッチするかもしれません。鉄道車両以外のマーケットに参入するというのは、会社として初めてのチャレンジになります。そもそも、弊社には営業セクションがありません。長らく培ってきた技術力を継承しつつ、多方面の業界に知識を持つ人を確保していくことが課題と言えます。
新しい発想で自由に挑戦できる環境
現在、社員の約半数は技術職です。入社後の業務はまず、先輩社員に同行して技術や知識を学ぶこと。鉄道車両の電源装置は非常に専門的ですが、高度な技術を習得して手に職が持てるというメリットもあります。私自身も技術職出身。デザインレビューや試験データのチェックなど、今でも現場主義で積極的に参加しています。新たなビジョンを実現させるために新しい人材を確保するのも大切ですが、一方で「技術者を育てる」というのも重要なミッションです。経営層は高齢化してきており、次世代リーダーを育成して若返りを図る時期にも差し掛かっています。今後はアウトソーシングを活用した勉強会などを実施するなど、教育や採用にしっかり投資していく考えです。「ものづくりだけでなく、“技術”を売る会社に」。これが弊社のスローガンです。幸い、弊社には多彩な技術者や設計者がおり、新しい発想で自由に挑戦できる職場環境が構築されていると感じます。まずは人材の課題を解決していきたい。そして、半世紀以上の時間で蓄積されたノウハウを土台とし、技術力で社会インフラに貢献していきたいと思っています。