コロナ禍が長期化する中
21期連続増収を達成
弊社は千葉県を中心に59店舗の理美容室の直営店を運営しています。コロナ禍が長期化する中で、21期連続の増収を達成いたしました。困難を乗り切れた最大の理由は常に「あるべき理想の姿」を見失わなかったことだと思います。2020年4月、緊急事態宣言が発令され世の中が騒然となっている時、まず思ったことはコロナ危機をどう乗り越えるか、次の世代のお手本になるような行動を示したいということでした。そのための指針として「緊急対策計画書」を作成して全スタッフと共有しました。ここで示したのは、第一段階として、全スタッフの雇用を維持し健康と生活を守ること。第二段階として、変化に対応して業績を回復させていく。そして最後は、どこよりも早く新たなチャレンジに踏み切り、ピンチをチャンスに変えていく。あえて茨の道を自ら切り開き、若い人たちに困難に立ち向かう姿勢を示す決意の表明でもありました。アスファルトの道ではなく砂浜を歩く選択をしたのです。
危機的状況こそ人は育つ
リーダー育成のチャンス
大震災や今回のコロナ禍のような有事の際は、当然ながら業績が大きく落ち込みます。その時に大切なのは、本来の計画からどれくらい落ちたかを正確に把握することです。これを正確に把握するためにはまず本来の計画が明確でなければなりません。先述したあるべき理想の姿に向かうための道のりをしっかりと計画に落とし込むこと。その道のりが明確に描かれてあるから、今回のコロナ禍でもどれくらい逸脱したのかを把握できる。どれくらい逸脱したかわかっているから元に戻すための計画も立てられるわけです。弊社は、コロナ前まで85.4%あった再来店率が80.9%になりました。そこで、元に戻すために接客やオペレーションなど、業務をすべて見直しました。結果、改善・改革すべき点が見つかり回復への礎を築くことができました。また、危機的な状況下ではリーダーが育つものです。このことを東日本大震災の時に経験値として知っていました。コロナ危機をリーダー育成のチャンスと捉え、なるべく権限を現場に委譲してリーダー研修を実施。結果的に強いリーダーが育ち、改めて危機の中でこそ人は育つことを実感しています。
コロナに感染したスタッフに
箱いっぱいの食料を送る
感染の拡大と共に一時的に赤字の月が出ました。休業して助成金をもらうべきと幹部社員から言われたことがありました。しかし、経営とは「判断」です。いかに素早い判断を正しくできるか。その時、判断の軸になるのがあるべき理想の姿であり、それを全スタッフと共有するために言語化したものが経営理念です。私たちの経営理念の1行目には、「地域社会に貢献する」と記してあります。店を閉めると地域に貢献できません。折しも当時安倍総理が会見で理美容は国民の安定生活のために必要なサービスだと言ってくれました。世の中に必要とされている仕事なのだからやろうと。そうしたら、お客様から多くの感謝の言葉や励ましの声をいただきました。あの時、私たちが手に入れたもの。それは、自分たちの仕事が世の中の役に立っているという実感でした。また、コロナに感染したスタッフにダンボールいっぱいの食料を送り続けました。売上や資産など目に見えるものは失っても、信頼関係など目に見えない大切なものは失わずにいようと、みんなで励まし合ったことが財産となっています。コロナ前の成長軌道に戻すことができた今、未来に向けて様々な種を蒔くべく、新たな挑戦にも取り組んでいます。