札幌新店舗の成功は現場が自ら対応した結果
当社の原点である根室の「祭囃子」は水産会社が母体でした。魚介類が豊富に水揚げされる道東という地の利に加えて、水産会社としての経験や人脈を活かしたネタの仕入れで、クオリティーの高い回転ずしとして親しまれるようになり、少しずつ店舗数を増やしてきました。現在は、釧路を中心に十勝エリア・札幌に店を構える「まつりや」と、2017年に傘下入りした「羽衣亭」の2ブランドの回転ずし店を合わせて11店舗を展開。地産地消に力を入れた地域密着型の店づくりを行なっています。創業当初から変わらず大切にしているのは、ネタの質の良さ。長年付き合いがあり信頼のおける取引先から、近海の魚介を中心に、鮮度が高く味の良いものを厳選して仕入れています。さらに、メニュー数が多く、バラエティー豊かな味を楽しめるのも当社の自慢です。季節限定も含めて、常時約200種類のメニューがそろっています。定番の握りに加えて、創作寿司も多数。定期的に行うメニュー開発では、既成概念に囚われることなく、食べる人を喜ばせること、美味しさで感動させられることを考えて創意工夫を凝らしてきました。質の良さを追求し、多彩なメニューを用意し続けてきたことで、多くのお客さまに選ばれる店に成長したのではと自負しています。
人材もできるだけ地元採用地域に根ざした店づくりを
すべての店舗を賃貸物件にすることで、低コストでリスクの少ない店舗運営ができています。安定経営のおかげで、2020年は世間の厳しい状況の中、札幌進出3店舗目となる「まつりや菊水元町店」を新たにオープンすることもできました。何より嬉しかったのは、同店を切り盛りする社員たちが、地域住民をしっかり調査した上で、自発的に企画を考え、実行し続けることで、売上を大きく伸ばしてくれました。私ではなく、働く皆で経営判断をしていった証だと思います。当社では、食材の地産地消だけでなく、人材もできるだけ地元で採用し、地域に根付いた店づくりをしてきました。その場所に暮らす人が気持ちよく働ける店を作ることが、地域に密着した店舗づくりに欠かせないと思っているからです。手前みそではありますが、当社のスタッフは温かく人柄がよい人ばかり。それが菊水店の結果にも繋がったのだと感じています。
目標や個性を気づくきっかけに相手への配慮のできる人材づくり
私は、当社がよい循環を作る会社でありたいと思っています。つい自分の利益ばかりを追いかけてしまいがちですが、実際には相手に配慮した言動をとることで、巡り巡って自分も幸せになれるのではないでしょうか。「よい循環を作る」というと、少し大げさに聞こえるかもしれませんが、この循環は“相手を裏切らない”、“思いやりを持って接する”など、ごく基本的で小さなことの積み重ねから生み出されるものです。一緒に働いていくなかで、社員もそれを学んで共に成長してくれたら、と願っています。若いうちから明確な目標が定まっている人は、そう多くありません。私自身の人生を振り返ってみても、偶然の出来事やご縁があった人たちの導きによって、目の前のことを一つずつ、一生懸命に取り組み乗り越えていくうちに、飲食業の可能性や面白さに気づき、会社の経営を任されるまでになりました。関わってくれた人にとって、わが社が自分の目標や個性に気が付くきっかけを与えられる場所になれたら、これほどうれしいことはありません。