建物細部まで検討する
生産設計という世界
弊社は一般的にイメージされる設計事務所や施工会社とは違い、設計者の意図を汲み、工事を円滑に進めるための施工図、いわゆる生産設計の提供を主な事業としています。建物を支える躯体から仕上げの細部に至るまで、建物全ての寸法や納まりを検討し、表現する技術が弊社の代名詞とも言えるでしょう。手がける建造物は駅舎やスタジアム、タワー、病院など非常に多彩です。規模にもよりますが数名~数十名のスタッフをゼネコンへ派遣。設計者のプロダクト思想を汲みながら優れたデザイン性と施工性を考慮し、利用者が快適に過ごせる空間を生み出していきます。ゼネコンは地図に残る建物を手がける仕事。彼らと同じ場所で、建物の完成へ導くのが我々の仕事です。リーマンショックは弊社のターニングポイントでした。数多くの企業がコストカットのため派遣切りを敢行。しかし、どれだけ腕利きの職人を要しても現場で精密な施工図を描くプロフェッショナルがいなければ、素晴らしい建物は完成しません。施工図とは言わば、施工に関わる全ての人への指示書。弊社はそのリーディングカンパニーとして、約半世紀にわたり事業を展開しています。
風通しの良い環境へ
IT投資で業務改善
DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改善も積極的に推進しています。正社員へはスマートフォンを貸与。昨今のコロナ禍を鑑みて、全従業員へタブレットも貸与しました。また、弊社は多くの従業員が建築現場にいるため、勤怠管理に課題がありました。そこでクラウドサービスを導入し、勤怠だけでなく名刺管理から社内コミュニケーションに至るまでを統合しています。クラウドサービスを使って新たに始めたのが「提案制度」。従来であれば、社員の意見や提案は直属の上司や部署長を通して私のところに伝わっていました。このような段階を取り払い、社員が社長に直接提案できる仕組みも構築しています。YouTubeを使った私への質問コーナーも好評でした。私がライブで回答、社員はチャットで参加するという企画です。IT投資によって、社長と社員の距離を無くした風通しの良い環境に変革しているのではないでしょうか。
新しい力を育成し
全ての設計を自社で
採用に関してもITサービスを活用し、Web上で完結する仕組みとしてSNSでPRも実施している他、ほとんどの人が利用しているLINEを活用し、応募から選考まで管理出来るようにしました。採用における弊社のポイントは”積極性”と”学び”です。ゼネコンと密に付き合い、切磋琢磨して建物を造りあげる経験は大きな糧になるでしょう。また弊社では「特待制度」を設けています。一級建築士の資格取得を推奨し、年間2名の学費を代わりに支払います。もちろん、業界未経験からのスタートも歓迎。いずれ「生産設計の訓練学校」としての機能が果たせるシステムを構築したいと考えています。弊社は1973年に創業し、1981年に法人設立されました。つまり、2023年で創業50年の節目を迎えます。これまで生産設計に特化していましたが、次の目標は生産設計の前段階である「基本設計」の領域に展開していくこと。設計に関わる全ての業務に携わる「総合設計の池下」を目指します。2019年に株式会社蒼設備設計の株式を取得し、子会社化させました。これにより、基本設計の地盤は確立されつつあります。新時代に向けて必要なのは新しい力。それを育て、走り出す“設計図”は完成しています。