MSC認証取得への挑戦! 新たな時代を切り拓く意
当社は、水産飼料製造・販売業として北海道広尾町を拠点に歩んできました。創業当初は養魚飼料を中心に扱っていましたが、漁獲量や価格の変動が大きく、安定した経営とは言い難い時期もあり、産業廃棄物処理や運送業などにも事業を広げてきた経緯があります。その後、私の代になってからはイワシに着目し、「大トロイワシ」というプレミアムブランド(Revo Fish)を立ち上げました。 そうした取り組みの一環として、2022年に始動したのが「北海道マイワシ漁業改善プロジェクト」です。業界を越えて集まったメンバーとともに、道東沖のマイワシを持続的かつ安定的に供給していく仕組みづくりを目指しています。もし漁獲量が減ったとしても、高付加価値化によって採算が取れるようになれば、結果として資源を守ることにつながる。そんな資源管理型漁業を実現するためのキーワードが、国際認証「MSC認証」です。日本初となるマイワシ漁業のMSC認証審査の結果も、9月頃には出る予定です。
グッドデザイン賞堂々受賞 海が育む未来の水産業へ!
この取り組みは、2024年度のグッドデザイン賞を受賞し、「海と漁業界の未来を守る壮大な取り組み」と高く評価していただきました。グッドデザイン賞は、社会を豊かにする新しい仕組みやアイデアを評価する面が強いので、私たちが提案する漁業モデルが認められたことは本当に嬉しいですね。しかし、漁期が昔のまま固定されているなど、日本の水産業にはまだまだ課題があります。たとえば近年、イワシが海岸に漂着しているのは、漁期と生態系のズレが生じるといった環境変化に制度が追いついていないことも関係。環境変化に制度が追いついていないからこそ。「将来のために獲らない」ことも含め、柔軟に考える余地が必要なのだと思います。
漁業革新へ挑む国際展開も視野に
当社ではさらに、イワシ由来のフィッシュミール(魚粉)や魚油を高付加価値化しており、今後は医薬品・健康食品の原料として世界に届けていく計画もあります。世界では日本企業と連携しEPA・DHAの抽出に製造工業をつくる動きがあるとも聞いています。漁獲量の変動があっても、少量の魚でも付加価値を高めることで利益を出し、漁師さんや地域社会へ還元していくビジネスモデルを構築するのが狙いです。これにより、将来的には漁業自体が安定し、生産者のモチベーションや地域の活気にもつながると期待しています。もちろん、こうした活動の支えは、漁師さん、地域の皆さん、そして当社の従業員です。だからこそ、近年では、地元広尾町の閉館していたホテルを改装し、漁師さんたちが無料でサウナを利用できるカフェを作るなど、地域貢献にも取り組んでいます。それだけではありません。2026年には新社屋が完成する予定で、最新の設備と技術を取り入れた新たな拠点から、より先進的な水産ビジネスを展開していく計画です。地域の未来を支え、世界の市場に向けて高品質な水産物を届けるためにも、私たち自身が常に進化し続けなければならないと感じています。環境の変化が加速する今こそ、水産業にも大胆なイノベーションが求められています。グッドデザイン賞やMSC認証取得は、その第一歩に過ぎません。私たちが築こうとしているのは、資源を大切にしつつ経済的にも成立する“新しい漁業”の姿。北海道広尾町から、海への感謝を忘れず、イワシとともに国内外へと挑戦を続けていきます。数年後私たちの取り組みが当たり前の選択肢になっていることを願いたいですね。