工事と料理には共通点がある
当社は1966年、札幌に創業しました。初めは電話通信工事から始まり、現在は情報通信設備に特化したトータルコンサルティング工事会社です。企業や空港、病院などの電話交換機やネットワーク設備、防犯カメラやナースコールシステムの導入・設置を主な仕事としています。私たちの強みは、電気通信工事全般を一貫してお受けできる「ワンストップソリューション」のサービス。施設の設立時や移転時、電気やネットワーク工事を別々の業者に依頼するのはお客さまにとって大変です。当社は、通常ならメーカーが担うような専門的な工事も自社で対応できるため、「大洲電気さんにお願いしてよかった」と感謝のお声をいただくことも。おかげさまで安定的な成長を遂げ、2012年に東京、2020年には横浜にも営業所を開設しました。私がこの業界に飛び込んだのは38年前。当時入社した別の会社は古い慣習の残る職場で、新人だからと、仕事に必要な工具や消耗品も満足に与えてもらえない環境でした。2009年、叔父の経営する当社を三代目として継いでからは、「これがあれば社員の皆がもっと楽に仕事できるだろうな」と考えたツールは躊躇なく導入してきました。必要があれば100万円の工具もすぐに購入しますし、車を運転する社員には全員、iPhoneのAirPodsを支給しています。この仕事のやりがいは、何よりお客さまから直接感謝いただけること。私は料理を作る事が好きなのですが、「誰かのためにつくる」という意味で、料理と工事は非常に似ています。当社は「ひと現場、ひと工夫」を企業理念に掲げています。人に料理をふるまうとき、いつもならただ切るだけの人参を「花の形に型抜きしてみよう」と工夫したくなりませんか? 工事も同じで、お客さまに納品する商品だからこそ、配線をつなげるだけではなく、見た目も美しく整えることが大切です。これは特別なスキルが必要なことではなく、人のために何かをつくることが好きな人なら、誰もが自然にできることです。
社員の皆さんを喜ばせたい一心で
経営で心がけているのは、とにかく社員の皆さんが働きやすい職場をつくることです。完全週休2日制(土・日)で、有給も取得しやすいよう配慮。給与は、月収に年に2回のボーナスを想定した額を上乗せするシステムを採用していますが、加えて年に一度、その年の決算状況により決算手当を支給しています。そのほかにも、社内のインターネット掲示板で「いいね」が一定数ついた人には社長賞として現金をプレゼントしたり、秋には旬のイクラを1kgずつ配ったりなど、独自の試みにもチャレンジ。創業50周年記念の際には、社員旅行で沖縄にも行きました。私自身が若手時代に苦い経験をしたため、どのような形でもいいから皆さんに喜んでほしい、その一心で経営マネジメントをしています。今年度注力したいのは、人財教育です。技術職は“現場で覚える”イメージがあるかもしれませんが、当社は机上で、一つひとつの作業工程について「なぜそうなるのか?」の理論を学ぶことも大切にしています。たとえば、当社のオフィスにはナースコールやITV(防犯カメラ)現行の交換機があり、練習環境の場を整えて商品の解体や組み立て、データを入力して機械を動かすまでを実際にやってみることができます。こうした練習環境のある工事会社は、道内では珍しいのではないでしょうか。2026年、当社は創業60周年を迎えます。私自身は好きが幸いしてここまでやってくることができましたが、最初からすべて上手くできたわけではありません。少しでも興味のある方なら、経験を積むうちに、自分の手で機械を動かす楽しさをきっと味わっていただけることでしょう。